睡眠|Sleep

睡眠の重要性とは?2040年の睡眠はどうなっているか?

睡眠の重要性
かのたく

人はなぜ眠る必要があるのか?

人間の体は、日中の活動で疲れを溜め、夜にその疲れを取り除くために睡眠を必要とします。

また、睡眠中に体は成長ホルモンを分泌し、体の細胞を修復・再生します。これは、特に成長期の子供たちにとって非常に重要です。大人にとっても、代謝機能や免疫など身体を健康に保つために重要な役割を果たします。細胞の再生にも関わるため、健康的な肌でいるためにももちろん重要です。

また、脳にとっても、睡眠は非常に重要で、毒素の排泄、記憶の固定や情報の整理、ストレスホルモンの抑制など、多くの機能が行われます。

睡眠は脳と体、人間関係までに効果あり!

良質な睡眠は、脳機能を高め、記憶力や集中力をアップさせます。脳は体内の不要な物質を排出し、神経細胞の損傷を回復させるのです。

また、体の細胞を修復し、免疫力を高める効果もあります。さらに、睡眠はストレスを軽減し、感情を安定させる効果があり、人間関係にも良い影響を与えます。

研究によれば、睡眠不足の人は、感情認識に問題を持っており、他人の表情から感情を読み取れない、敵意を持っていると感じてしまいやすいなど、適切に理解できない可能性があります。

また、睡眠不足になると人に対して不誠実になるということがわかっています。睡眠不足の人は仕事をサボる傾向にあり、業務時間中に仕事と関係のない動画視聴やネットサーフィンをする人が、良い睡眠がとれている人に比べて多いことがわかっています。

また、肌の状態も悪く周りからも交流したいと思われづらくなるなど、意外にも人間関係に影響することはたくさんあるのです。

眠らないとどうなる?

睡眠不足は、体の免疫機能の低下、記憶力や集中力の低下、肥満のリスク増加、情緒不安定など、多くの健康リスクを招きます。例えば、一週間に6時間以下の睡眠を取っている人は、適切な睡眠を取っている人に比べて感冒のリスクが4倍高いとされています。

また、過去に行われた睡眠を断つ実験でも、その重要性が明らかにされました。1965年、アメリカの高校生、ランディ・ガードナーは、科学実験として11日間、つまり264時間、睡眠を取らないで過ごすという実験を行いました。

彼は、最初の数日間は比較的元気でしたが、次第に集中力や判断力、記憶力が低下し、幻覚を見るなどの精神的な影響が現れました。彼はこの実験の後15時間の睡眠をとり、元のように回復したとされています。

ここで驚くべきは11日間の断眠をたったの15時間の睡眠で回復できたという、人間の体が非常に驚異的な回復能力を持っていることがわかります。この実験は、睡眠の重要性を科学的に示すものとなりました。

このように、睡眠は私たちの体と脳にとって極めて重要な役割を果たしています。十分な睡眠を取ることで、健康を保ち、日々の生活を充実させることができるのです。

日本人の睡眠時間は世界ワースト1位

日本人は、世界で最も睡眠時間が短い国です。OECDの統計によれば、日本人の平均睡眠時間は、約7時間40分で、これはOECD加盟国の中で最も短い時間です。仕事や勉強、スマートフォンの使用など、多くの要因が影響していると考えられます。

脂生活ラボ様がOECD2021を元に作成

日本人のおよそ9割が睡眠に不満をもつ

睡眠時間が世界一短い日本で、多くの人が不眠、早朝覚醒、寝つきが悪いなど、様々な睡眠に関する悩みを抱えています。全国3000人以上を対象とした「睡眠に関する調査」では約9割の人が「何度か目が覚める」「寝ても疲れがとれない」などの睡眠への不満をもっていることがわかっています。この調査は40代以上の回答割合多いとはいえ、かなりの人が睡眠に関して悩みがあるということがわかります。

睡眠時間は長ければいいというわけではない?

それでは、長く睡眠時間を確保できれば睡眠不足は解消するのか、というと答えはNOなんです。睡眠の質は、時間だけではなく、深さや途中での覚醒回数なども関係します。長時間睡眠を取っても、その睡眠が浅い場合や途中で何度も覚醒する場合は、良質な睡眠とは言えません。一方で、短時間でも深い睡眠を取ることができれば、ある程度体の修復や脳のリフレッシュに効果があると考えられます。

睡眠負債は週末に精算できるのか?

睡眠負債という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。睡眠負債とは、必要な睡眠時間に対して、実際に取得した睡眠時間が不足している状態を指します。例えば、あなたの体が1日に8時間の睡眠を必要としているのに、5時間しか寝ていない場合、その日の睡眠負債は3時間になります。

平日に溜まってしまった睡眠負債を週末にたくさん寝ることで精算すればいい、と考える人もいるかもしれませんが、これはオススメできません

なぜならば、良い睡眠をとるためにはリズムが重要になってくるからです。毎日同じ時間に起きて同じ時間に寝るなど、そういった睡眠を良くするための生活習慣を継続することで効率の良い睡眠がつくられます。

週末に長時間寝ることは、逆に体調を崩す可能性があります。例えば、週末に長時間寝ることで、体内時計が狂ってしまい、逆に平日の睡眠リズムが乱れる可能性があります。そうすると結果的に、睡眠が浅くなったり途中で目覚めてしまったりといった原因にもなります。

睡眠時間が長すぎると糖尿病のリスクが増える

睡眠時間にはリズムが大事と言いましたが、それではどれくらいの睡眠時間をとればいいのか、個人差はあるものの6時間〜9時間の間、7.5時間は取れることが理想です。

逆に9時間以上寝てしまう人は、睡眠時間が6時間以下の人よりも死亡リスクが高いということがわかっています。具体的には、肥満や糖尿病、心疾患などのリスクが高まるとされています。

2040年の睡眠はどうなる?

人間の長い歴史の中で無くならずに必要な機能として残った「睡眠」。まだまだわかっていないことの多い睡眠ですが、未来の睡眠はどうなっているのでしょうか。

内閣府が推進している「ムーンショット型研究開発制度」に睡眠に関する研究がありますので、概要をご紹介します。

ムーンショット型研究開発制度

「睡眠と冬眠:二つの「眠り」の解明と操作が拓く新世代医療の展開」(筑波大学教授 柳沢正史PM)では、睡眠の謎の解明を目標としながら、以下のようなサブ目標を掲げていますので、2040年までの間に実現される可能性があります。

サブ目標1:日常生活の中で自然と予防ができる社会の実現

1.健康なショートスリープによる睡眠からの解放
 健康の維持に必要な睡眠時間は、遺伝的に決まっています。しかし、仕事や家事・学業のために自分に適した睡眠がとれず、多くの人が睡眠負債を抱えています。そこで、遺伝的に決まっている睡眠時間を調整する方法を開発し、短時間睡眠でも健康でかつ活動的な生活を送れる技術の開発を目指します。


2.睡眠負債で病気にならない社会
 睡眠負債によって、様々な疾患の発症・重症化が起こることが分かっています。このメカニズムを解明し、疾患を予防する方法を開発することを目指します。


3.睡眠トレンドに基づくテーラーメイド予防医療
 IIIS発ベンチャー企業の(株)S’UIMINは、家庭用睡眠計測デバイスを開発し、2020年に睡眠計測サービスを開始しました。これを活用して、個人の睡眠の特徴や傾向から、疾患リスクを予測する方法を開発します。また、上記2の予防技術と組み合わせたテーラーメイド予防医療を実現します。

サブ目標2:世界中のどこにいても必要な医療にアクセスできるメディカルネットワークの実現

4.どこでも災害時でも睡眠医療へアクセスできる社会
 睡眠に関わる疾患を正確に診断するためには、脳波の計測が必要です。しかし、これができる病院は限られ、地方や災害等の緊急時に脳波計測を行うことは非常に難しいという現状です。そこで、いつでもどこでも睡眠医療が提供できる社会を作ります。


5.人工冬眠技術で救急時や災害時でも死亡率や後遺症を劇的に減らせる社会
 IIISは、2020年にマウスを人工的に冬眠様状態することに成功しました。これを応用し、ヒトの人工冬眠を可能にすることを目指します。冬眠様状態では、怪我や急病の際に症状の悪化を防ぐことができます。救急救命のための時間的猶予ができることから、緊急搬送が容易になり、救急時や災害時に医療崩壊を防ぎます。

参考URL:筑波大学国際睡眠統合医科学機構

まとめ

睡眠は、人間の脳と体にとって非常に重要な機能です。良質な睡眠を取ることで、健康を保ち、日中のパフォーマンスを向上させることができます。そのため、日常生活での睡眠の質を高めることに注意を払いましょう。

日常生活で睡眠を高める方法として、寝具など環境を整えることと、睡眠を意識した生活習慣をつくることが重要です。参考に以下の記事がオススメです。

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